ただの自分
「ただの自分になって下さい」と、繰り返し繰り返しガイドさんに言われた時期があった。
「ただの自分?」と聞き返すと「言葉通り、ただのあなたですよ。一切のラベルを取ったあなたですよ」と言う。
一切のラベル…?と考えていると、ガイドさんが具体的にあげてくれた。
現在○歳で、○○会社に勤めて○○の仕事をしている自分でもなく。
最終学歴は○○で、○○会社に○年勤め、○○の仕事のキャリアが○年の自分でもなく。
趣味は○○で、○○は得意、○○は苦手な自分でもなく。
○○という父親と○○という母親のもとに生まれ、姉が一人の自分でもなく。
数字や物理は、すごく苦手で国語はちょっと得意だった自分でもなく。
身長○○で、体重○○、消化器と婦人科が弱く、でも骨はとても丈夫な自分でもなく。
性格は素直でおおらかだけど、一度言い出すとテコでも動かない頑固さもある自分でもなく。
普段はちょっと気弱で温和な性格なのに、何かの拍子で相手が誰でも突進していく自分でもなく。(さすがにこれは苦笑い…)
子供の頃に、ひどいイジメに会い、人が怖くなってしまった自分でもなく。
まだまだ数えきれない程ありますが、まだいきますか?(笑)
いや、これ以上はロクなラベルが出てこなさそーだから、もういいッス…。腹一杯ッス…。
「何故ロクなラベルではないのですか?すべてあなたが大事に握りしめて離さない、あなたの過去ですよ?」
握りしめて離さない…?大事に…?
「あなた公認、これが私ですラインナップではないですか?」
確かに(笑)。
自分のラベルを剥がす
「これが私ですラベルを一枚一枚剥がしてみませんか?」
やってみた。
イメージの中で思い付く限りの「私とはこういう人間ですラベル」を剥がしてみた。
一枚剥がす度に心が軽い。何故だか心が自由になっていく気がする。こりゃ面白い。
調子にのってバンバン剥がしてやった。
あらゆる経歴。あらゆる身体的特徴。あらゆる気質。好み。得意、不得意…。
私ってこーいうヤツだよなーを全部。
自分が空っぽになった気がした。それがやけに軽さを感じて心地よい。
そうか、こんなにも重たいものだったか、自分。
こんなにも重たかったか、だいたい50年分の過去。そりゃ、どっこいしょって言うワケさ。
いい人間でもなく、悪い人間でもなく、優秀でもなく、劣っているわけでもない自分。
50年分の過去、自分を空っぽにしたら、こんな人になりたいも、目指す何かもなくなった。
自分のゼロポイント
ああ、なんて楽チンなんだろう…と感じるままにしていると「ここが自分のゼロポイントか…」と気づいた。
気づいた瞬間、ぼうだの涙が出た。なぜか号泣嗚咽入り(笑)
別に悲しいワケでも、感動しているワケでも、自分を憐れんでいるワケでもない。
全く感情が伴わない涙。何の思いもない涙。自分でも?。
しかも買い物の帰り道。大根やら牛乳やらお菓子やらお菓子やらが入ったエコバッグを肩から下げて泣きながら歩くおばちゃん。
ガイドさん、タイミングとか考慮して欲しい。マジで。辺りに人がいなくて幸い。
ひとしきり泣いたら、いつもと違う感覚に気付いた。
いつもと違う音が聞こえる。ありとあらゆる音が聞こえる。
はるか先の音が聞こえる。
極めつけは、電線の中を電気が通る音が聞こえる。高圧電線ではない普通の電線だ。「これはやべぇ…」
私は元々極端に目が悪い代わりに極端に耳がよかった。子供の頃から一度聞いた声はほぼ記憶していた。だが、これはちょっとやべぇヤツだ…(笑)
次いで、そこいら中にあるもの全部に繋がれる事に気付いた。
木とか花とか草とか土、石、道路、家、電柱、車、雲、月…あらゆるものにまとっている、特有のエネルギーを感じる事ができる事に気付いた。
意識を向けたものに自分のエネルギーが繋がる。
そして、繋がったものと自分の間には境目がない。
これはちょっと面白い。前にガイドさんが言ってたなー「全てのものはエネルギーです」って。ホントだなー。
「全てのものは繋がっています。」って。なるほどなー。
「ただのあなたは、無限に拡がってゆけるでしょう?」とガイドさんが笑っている。
たしかに。こりゃ無限だわ(笑)
「あなたがゼロポイントに立つ時、自らの大いなる魂と共に在ります」とガイドさん。
ふーん、そういうもんなのかぁ…と買ってきたアンパンをかじりながらTVを付けた。
すると、TVから流れてくる音や映像がなんとも気持ち悪く感じて、すぐに消した。
大好物のアンパンと牛乳も美味しくない…。大いなる魂と共にあると、アンパンと牛乳は不味くなるのか?ちょっとヤダな…。
私は、欲まみれで俗っぽい自分は結構気に入っている。
なので、ゼロポイントにつき五感がやべぇスイッチは、ヒーリングの時のみオンにして普段はオフにしている。
私という人間は、結構都合よく出来ているらしい。